カッパドキアの絨毯は手間のかかった織りのお陰で100年経っても十分に使える。
普通、地糸にひと絡げして編まれる毛がここではふた絡げされている。そのせいで100年経っても毛が抜けないのだ。そして使えば使っただけ、アンティークとしての価値が出てくる。使ってすぐボロボロになってしまうのでは駄目だ。100年経っても十分使えるほど、元が良いから価値があるのだ。
そして丸めて大事にしまっているだけでも駄目。使って使って色が褪せ、味が出てこそ価値も出る。
今買って孫の代まで使ったら、孫にひと財産残す事になる。何かそこら辺にもロマンを感じちゃう。
例えばね「この着物はひいひいお婆様が明治の始めのお嫁入りに着た着物なの」なんて着物が実際に着れたら、胸が破裂しちゃうと思う。それと一緒。私の成人式の着物もいつか孫娘に着せたいな。
話が逸れてしまいましたが、今、トルコが豊かになるにしたがって、徐々に生活様式も変わり、家で絨毯を織る主婦は僅かだ。
今は絨毯工場に勤めに出て織る。絨毯を取り巻く環境はどんどん変わっていく。
それも凄いスピードで。
手工芸品と言う「産業」として続いていくのだ。
廃れ行く絨毯文化を探る意味で、またそれを取り巻いていた家族の生活をを尋ねる意味で、折角、今ここカッパドキアに住んでいるのだから、時間の許す限り、昔ながらにお家で絨毯を織る女性を訪ねて歩ければなあ、と思ってます。
そして愛する絨毯たちもその時々にご紹介していきます。
アンネの知り合いや親戚をキョイ(村)まで訪ねたり、もしくは昔織っていた人からお話を聞いたりしながら書き連ねていきますデス。
アンネやババがキョイに用事がある時にくっついて行ったり、旦那に暇がある時に車で運んで貰ったりしながら、ヤワシヤワシ(ゆっくり)進めていくつもりです。
どこまでちゃんと続けられるか自信はないのですが、気長にやっていきます。ご覧になる方も気長に待っててください。



絨毯。カーペット。トルコ語でハル。
最初にトルコを旅した時にイスタンブルでも、ここカッパドキアでもやたらと絨毯を買わないか、と勧められた。絨毯?全然興味なし。狭い日本の家の何処に敷けって言うの?なんで皆ジュータンジュータンって言うんだろう?そんなに絨毯買う人いないと思うゾ、と。とにかく違和感しか感じなかったワタクシ。
それが今や絨毯LOVE。
もっと絨毯の事が知りたい!自己満足でもウンチクが語れるようになりたい!等と思うようになってしまいました。
なぜか?
絨毯は実用品で且つ工芸品、アートなのだ。
この「実用的」でありつつ「アート」である、ってあたりにやられてしまった。
子供の頃から私は「着物LOVE」だった。
母親の影響もあるとは思う、で、たまたま良い呉服屋さんがご近所に居たって言う幸運もあったと思う。
でも、着物そのものの何にワクワクしたかって言うとやはり「実際に着れるアート」だったって事だ。
そして、廃れつつある職人技に支えられているあたりにもドキドキする。
精巧な織りの着物などは、もう昔の技術を受け継ぐ人がいなくなっていて、欲しいとなったらまず職人さんを探す所から始めなくてはならない。
NHKの「匠の技」みたいな番組大好き。エンディングなんかで『…そして、その技を受け継ぐものは…いない…』なんてナレーションが入ると本当にハラハラと泣いてしまうワタクシだ。
絨毯にも同じような郷愁とワクワク感を感じてしまっている。
昔はカッパドキアの主婦は皆、家で絨毯を織っていた。
昼は子供達の世話、食事の世話、手抜きしない掃除、ひと時も休まず立ち働き、
夜は子供達を寝かしつけた後に夜なべして絨毯を織る。
時に何年もかかって、精巧な作りの絹の絨毯を織り上げる。そして今度はご主人が町へ行って売ってくる。
「鶴の恩返し」みたいな生活かな。
ウチのアンネもそうだった。
若くて目が良くて体力があった頃は、本当に二日も三日も徹夜して織ったものよ、と。
今、一緒に暮らす、この家の名義はアンネになっている。奥さん名義の家ってトルコでは珍しいと思う。
ババがこの家を買う時に「我が家がこうして幸せに暮らせるのも、若い時にアンネが絨毯を織って家計を助けてくれていたからだ。この家の半分はアンネの絨毯で出来ている。」と言って、名義をアンネにしたのだそうだ。泣かせるなあ。
若い時カッパドキアワインの杜氏さんだったババは何人も若い衆を使い、葡萄の醗酵状態や温度や湿度やとにかく目の離せない仕事で、仕込みの最中は家にも帰らずワイン倉で寝泊りして働いていたそうだ。
そんな評判のチャルシュカン(働き者)だったババでもアンネの絨毯織りにはリスペクトを隠さない。
カッパッドキアの絨毯の
古典的な柄の数々です。
スライドして他の柄も見れますので、
下の→をクリックしてください。
色や柄がはっきりしていて、とても我が家には敷けないわあ、って思うと思いますが、これが不思議な事に、床に敷くとこう言う柄が栄えて、部屋の空気が変わります。
着物の帯で、絶対洋服だったら選ばない様な色が、素敵に映えるってあるでしょう?事ほど左様に古典って言うものは奥が深いんです。